耳鳴り用語集【完全ガイド】
耳鳴り(じめい)は日常的に多くの人が悩む症状でありながら、その原因や関連する医療用語は意外と知られていません。
ここでは、耳鳴りに関係する重要な用語をわかりやすく解説し、症状の理解やセルフケア、治療の手助けとなる情報を網羅しています。
■ 耳鳴り(Tinnitus)
耳の中で「キーン」「ジー」「ブーン」などの音が聞こえる状態。他人には聞こえず、自分にしか聞こえない音のこと。音の種類や大きさは人によって異なる。
■ 突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)
突然発生する原因不明の難聴。片耳に起こることが多く、耳鳴りやめまいを伴う場合もある。早期の治療が聴力回復の鍵。
■ メニエール病
内耳のリンパ液の異常(内リンパ水腫)が原因で起こる疾患。耳鳴り、難聴、めまいの三大症状が特徴。ストレスや疲労が発症の引き金になることも。
■ 自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)
ストレスや生活習慣の乱れなどで自律神経がバランスを崩した状態。血流や神経伝達が乱れることで耳鳴りが起きる場合がある。
■ 聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)
聴神経(内耳神経)にできる良性の腫瘍。初期には片耳の耳鳴りや難聴が見られる。進行すると平衡感覚の障害や顔面麻痺を引き起こすことも。
■ 音響療法(おんきょうりょうほう)
耳鳴りの不快感を和らげるために、環境音やホワイトノイズ、自然音などを使って耳鳴りを「マスキング」する治療法。耳鳴りを「無音」の中で意識しないようにするのが目的。
■ TRT療法(Tinnitus Retraining Therapy)
音響療法とカウンセリングを組み合わせた治療法。耳鳴りを脳が「気にしない音」として認識するように訓練する。
■ 感音性難聴(かんおんせいなんちょう)
内耳や聴神経に問題があって音が聞こえにくくなる難聴。耳鳴りの原因として非常に多い。
■ 伝音性難聴(でんおんせいなんちょう)
外耳や中耳の構造に問題があり、音が内耳にうまく届かないタイプの難聴。中耳炎や耳垢による詰まりなどが原因。
■ 血流障害(けつりゅうしょうがい)
耳や脳への血流が悪くなることで、神経に酸素や栄養が届かず、耳鳴りが発生することがある。高血圧、動脈硬化、肩こりなどが関係する。
■ 耳管開放症(じかんかいほうしょう)
耳と鼻をつなぐ耳管が開きっぱなしになることで、自分の声がこだまして聞こえたり、耳鳴りを感じたりする症状。
■ 耳垢栓塞(じこうせんそく)
耳垢が耳の中に詰まって、音が聞こえにくくなったり、耳鳴りの原因になったりする状態。耳掃除のしすぎが原因になることもある。
■ ホワイトノイズ
風の音やテレビの砂嵐のような一定の雑音。音響療法に使われることが多く、耳鳴りを感じにくくする効果がある。
■ マスキング効果
別の音を用いて耳鳴りの音を「かき消す」こと。ホワイトノイズや環境音などが耳鳴りの不快感を和らげるのに使われる。
■ ビタミンB12
神経の修復を助けるビタミンで、耳鳴りや難聴の治療に使われることがある。血流を改善し、神経伝達を正常に保つ働きがある。
■ 漢方薬
当帰芍薬散、加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などが耳鳴り対策として使われることがある。体質改善やストレス緩和を目的に処方される。
■ 心因性耳鳴り
明確な身体的な異常が見つからず、心理的ストレスや不安が引き金となる耳鳴り。うつ病や不安障害と関連していることもある。
■ 薬剤性耳鳴り
特定の薬(抗生物質、利尿剤、抗がん剤など)によって引き起こされる耳鳴り。一部は服用を中止することで改善される。
■ 検査方法
耳鳴りの原因を探るために行われる検査には以下がある:
純音聴力検査:どの音域が聞こえにくいかを確認
語音聴力検査:言葉の聞き取り能力を調べる
耳鳴り検査:音の高さや大きさを再現し、耳鳴りの特徴を特定
MRI:聴神経腫瘍など脳の異常を確認するために実施
■ 難聴スクリーニング
加齢性難聴や騒音性難聴など、耳鳴りと関係する聴力の低下を早期に見つけるための簡易検査。早期発見が耳鳴りの進行防止に役立つ。
■ 耳鳴り外来(専門外来)
耳鳴りの専門診療を行う医療機関。耳鼻科の中でも専門医が在籍する施設が対象で、音響療法やカウンセリングを受けられる。
■ 補聴器
加齢や難聴が原因で耳鳴りが起きている場合、補聴器の使用により耳鳴りが軽減するケースもある。周囲の音を増幅することで、脳が耳鳴りに集中しにくくなる。
■ 耳鳴り指数(THI:Tinnitus Handicap Inventory)
耳鳴りが生活にどれだけ影響しているかを測定する質問票。症状の程度を客観的に把握するのに役立ち、治療方針を決める参考にもなる。
まとめ
耳鳴りはひとつの症状であっても、背景にはさまざまな身体的・心理的要因が関係しています。
正しい知識を持つことで、適切な対処が可能になります。
この用語集を活用し、自身の耳鳴りへの理解を深め、必要であれば専門医の診察を受けることをおすすめします。