歯の病気が愛犬の寿命を縮める

80%以上もの犬が、歯の病気を抱えたまま

動物の医療とは人間の医療の後追いとして発達してきたもので、専科性に特化した医療技術と呼べるものは、未だ研究・開発の段階にあるというのが実状です。

全国の動物病院を見ても、人間で言う所の『小さな診療所』と表現されるレベルの病院がほとんどで、近年になって、大学病院や高度医療センターでは専科性を持った医療技術と設備が整ってきておりますが、犬の専科的医療技術の中でも最も遅れているのが歯科の分野です。

 

ただでさえ、口腔内の病気や虫歯などのトラブルは日々の健康チェックの上でも盲点になりやすく、日本では3歳以上の犬の80%以上が、歯周病を始めとする何らかの歯の病気を発症していると言われております。

 

また、歯の病気が発症した時点では飼い主の半数以上が愛犬の歯の病気に対して無自覚なため、動物病院に連れて行っても、犬の歯の健康状態について専門医でなければ正確な判断ができません。

 

 

動物病院でも見落とされ、症状や痛みが悪化していく

一般の動物病院での診察では、歯の病菌についての誤診や見落としも多いため、飼い主が愛犬の歯の異変に気付いた時には、すでに完治が難しいまでに症状が進行してしまっていたというケースも多くあります。

歯の病気を治療しないまま放置してしまうと、直接的な痛みや不快感だけでなく、普段の生活や食事にも様々な不自由が出てきてしまいます。

 

まず、歯や歯肉に異常がある場合、犬にとっては口の中に何かが引っ掛かっているような錯覚を覚えます。引っ掛かったものを取り除こうと、前足でしきりに口周りを気にして触るような仕草や、地面に顔をこすりつけるような行動をとるようになりますが、痛みも不快感も一向に排除されず、むしろ悪化してしまいます。

そして当然のごとく、歯の病気は生命の糧である食生活に大きな弊害をもたらします。

分かりやすいケースとして、食べながら頭を振ったり、痛がる声を出している場合、ほぼ確実に歯周病や虫歯の痛みが原因となっています。

そのため、柔らかいフードを好んで食べるようになる傾向がみられるようになり、きづかずに柔らかいフードに切り替えてしまったことで、歯に汚れが付着しやすくなり、症状の悪化を招いてしまったりします。

犬は痛みを隠します

歯に痛みを持っていても、噛む力を加減して器用にフードを食べる犬もいます。

このような犬の場合、食事中の様子からは歯の状態の悪化が判断しにくいものですが、噛む力を弱めているため、食べている途中で口からフードをこぼしやすくなります。

 

そのため、愛犬の歯の病気の進行を未然に防ぐためにも、口腔内に異常を抱えている犬に顕著に見られる特徴や行動にも着目して健康管理をする必要があります。

 

 

放置すると命に係わるリスクも・・・

もし、そのまま歯の病気が悪化してしまった場合、症状は歯周や口腔内に留まりません。

口腔内から他部位に派生する病気の代表的なものとして、感染性心内膜炎、虚血性心疾患、肝炎、間質性腎炎、関節炎、骨髄炎など、歯石や歯周病からの細菌感染によるものがあり、いずれも進行すると生活に支障をきたす障害となる疾患ばかりで、手術をしても完治が難しいというケースも多く、命に係わる危険性を持った病気ばかりです。

 

上記の病名を見て、意外に思うかもしれませんが、歯の病気は一般に考えられるより遥かに多様なリスクを含んでいるんです。

 

そのためにも、定期的に歯のケアをして見てあげるというのが、愛犬がいつまでも健康で長生きしてもらううえで一番大事になってきます。